7月10日、6月定例会最終日を迎えました。この日は、本会議にて議案を審査した4つの常任委員会の委員長が審査結果などを報告。今議会に提案された補正予算、条例案などの表決が行われました。
私は、表決に先立って行われる討論に立ち、日本共産党県議団を代表して条例案4件、請願4件について反対意見を表明しました。
反対した条例案は、国民監視を強めるとともに情報漏えい等の問題が指摘されているマイナンバー制度の導入に伴う2つの条例案と、養護老人ホームの職員配置の規制を緩和する条例案、保育所において准看護士を保育士とみなすことができるようにするための条例案です。
請願は、委員会で「不採択」とされた、戦争法案の「慎重審議」を求める請願と、同様に「不採択」とされた最低賃金の大幅な引き上げを求める請願の2つの請願ついて「採択」するよう求めました。戦争法案の廃案を求める2つの請願はともに「継続審査」との報告でしたが、「違憲立法の戦争法案は廃案にすべき」と「採択」することを求めました。
日本共産党の大国陽介です。日本共産党県議団を代表して、条例案4件、請願4件について委員長報告に反対する討論を行います。
【第85号議案「島根県個人情報保護条例の一部を改正する条例」】
【第88号議案「住民基本台帳法施行条例の一部を改正する条例」】
はじめに、第85号議案「島根県個人情報保護条例の一部を改正する条例」並びに第88号議案「住民基本台帳法施行条例の一部を改正する条例」についてであります。
これらの条例改定は、いわゆる「マイナンバー制度」の導入に伴うものであります。
マイナンバー制度は、赤ちゃんから高齢者まで、住民登録をしている全員に生涯変わらない12桁の番号を割り振り、社会保障や税の情報を国が一括管理するものです。 「行政手続きの利便性向上のため」などとの利点が強調されますが、一人ひとりの社会保障の利用状況を国が一体で把握し、社会保障費の抑制・削減を「効率的」に進めようとするのが本当の狙いであります。
さらに、国民にとっては個人情報の漏えいや不正使用の危険性を抱えるものになってしまいます。これまでは、年金、医療、介護、雇用の情報や納税・給与の情報はそれぞれの制度ごとに管理されていましたが、マイナンバー制度によってこれらが一つに結ばれることになり、大量の個人情報が一つのかたまりとなります。
6月、日本年金機構が不正アクセスを受け125万件の個人情報が流失する事件が発生しました。情報漏えいを100%防ぐ完全なシステムを構築することは不可能であり、情報が集積すればするほど価値が高まり、何者かに常に狙われることになります。
本年10月から番号の通知が行われ、来年1月から運用が始まりますが、国民監視を強化し、個人情報漏えいの危機にさらすマイナンバー制度は、今からでも中止すべきであると考えます。よって、制度導入に伴うこれらの条例改定には賛成できません。
【第89号議案 「島根県養護老人ホームの設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例」】
次に、第89号議案「島根県養護老人ホームの設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例」についてです。
本条例案は、「養護老人ホームの設備及び運営に関する基準」の改定に伴い、養護老人ホームの職員配置基準を緩和し、見直すものであります。
今回の基準改定は、養護老人ホームで介護保険サービスの提供を行う場合、「支援員」や「生活相談員」が常勤者でなければならないとする一方、その例外規定を設け、他の職務との兼務を可能とするものであります。
昨年6月に成立した医療・介護総合法によって、特別養護老人ホームへの入所は原則要介護3以上に限定されました。今後、ますます低所得で孤立した高齢者が急増し、介護難民はますます増大するおそれがあります。
このような中にあって、環境上の理由や経済的理由により、自宅で生活することが困難な高齢者が入所する養護老人ホームの役割が大きく求められます。
今、必要なことは、養護老人ホームの職員配置基準を充実させることであります。
よって、職員基準を緩和する本条例案には、反対であります。
【第90号議案「島根県児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例」】
次に、第90号議案「島根県児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例」についてです。
本条例案は、乳幼児を4人以上入所させる保育所の保育士の数の算定にあたって、保育所に勤務する保健師又は看護師を「保育士」とみなしているものに、さらに「准看護師」を追加するものであります。
保育士は、保育に従事する専門職であり、看護師・准看護師は園児の健康状態を把握し、保健及び、看護活動を行う専門職であります。
一人一人の子供の健やかな発達を保障するために、保育士の専門知識と技能は欠かすことができません。今回の条例改定によって、専門性の異なる准看護師を保育士の代替とすることは、保育の質を一層低下させることになりかねません。
子供の健康を保障するためにも看護師等の配置は必要なものであり、看護師配置が進むよう財政支援を充実させるべきです。そして、子供の発達を保障し、保育環境を 充実させるためにも保育士の配置基準を手厚く改善させることこそ多様化する保育ニーズに応える確かな道であると考えます。
以上の立場から、本条例案には賛成できません。
【請願第1号「最低賃金の改善と中小企業支援の拡充を求める意見書の採択を求める請願」】
次に、請願第1号「最低賃金の改善と中小企業支援の拡充を求める意見書の採択を求める請願」についてであります。
本請願は、ワーキングプアをなくすため、最低賃金の大幅な引き上げ、中小企業への支援の拡充、中小企業基本法や独占禁止法等の改正、雇用の創出と安定に資する政策の実現を要求するためのものであります。
島根県の最低賃金は時給679円、最も高い東京で時給880円、最も低い地方は時給677円です。これでは毎日フルタイムで働いても月10万円から13万円程度にしかならず、健康で文化的な最低限の生活を保障するものとはなっていません。
また、時給で211円もの地域間格差があり、労働力の地方から都市部への流出を招いています。地方の再生のためにも最低賃金の大幅引き上げと中小企業への支援拡充は、急務の課題であります。
よって、本請願の採択を求めます。
【請願第5号「安全保障法制の慎重審議を求める請願」】
次に、請願第5号「安全保障法制の慎重審議を求める請願」についてであります。
安全保障法制・戦争法案は、憲法9条を蹂躙(じゅうりん)し、日本を戦争する国につくりかえる違憲立法であります。
どの世論調査でも国民の6割近くが憲法違反と回答し、国民の8割が今国会での成立をすべきではないと回答しています。首相はじめ政府の答弁からは、拡大する自衛隊員のリスクともまともに向き合おうという姿勢さえも見えません。それどころか議論が進めば進むほど違憲性が浮き彫りになり、理解が進むどころか国民の批判の声が日を追うごとに高まってきているではありませんか。
本請願が求める法案の慎重な審議は当然のことであり、今国会での強行など許されるものではありません。違憲立法の戦争法案は直ちに廃案にすべきであることを強調するものであります。
よって、本請願の採択を求めます。
【請願第2号「集団的自衛権の行使を具体化する『安全保障法案』を廃案にすることを求める意見書の採択を求める請願」】
【請願第3号「安全保障関連2法案、国際平和支援法案、平和安全法制整備法案の廃案を求める意見書採択についての請願」】
合わせて、請願第2号「集団的自衛権の行使を具体化する『安全保障法案』を廃案にすることを求める意見書の採択を求める請願」並びに請願第3号「安全保障関連2法案、国際平和支援法案、平和安全法制整備法案の廃案を求める意見書採択についての請願」については、いずれも「継続審査」でありますが、「採択」すべきことを求めます。
以上で討論を終わります。