市議会定例会の最終日、議案の表決に先立って討論に立ちました。私が述べた討論は以下のとおりです。
(補正予算)
はじめに、議第2号、出雲市一般会計第2回補正予算についてです。
補正予算額11億6500万円、今年度予算合計737億1500万円であります。今回の補正予算には、県の中小企業制度融資にかかる信用保証料の補助、新規就農者への給付金の支給、公園のトイレや遊具の改修、通学路の安全対策、住宅リフォーム助成事業、幼児発達支援事業、保育士処遇改善事業、学校校舎の整備など、住民の要求を受けた予算も含まれていると認識していますが、次の理由により、可決とした委員長の報告に反対するものであります。
第一の理由は、「行財政改革のあり方」が市民の立場に立っていないということです。出雲市ではこの間、「財政難」を口実に、上下水道料金やゴミ袋など、各種公共料金の値上げや福祉サービス対象者の切り捨てなどが実施されてきました。さらに、生活に困窮し、税や保険料を滞納する市民に対し生活実態を考慮しない異常な取り立ても行なわれてきました。
今回の補正予算には、「行財政改革審議会」の開催経費が盛り込まれており、その目的は「簡素で効率的、かつ長期に安定した行財政運営を実現させるため」などとなっています。しかし、行財政の改革はあくまでも「市民の生活安定、福祉増進」のために行なわれなければなりません。
今日の財政難の原因は過去の過大な公共投資にあったことは明白であり、過去の失政に対する反省もなしに、市民にツケをまわすなど言語道断であると言わなければならず、基本方針の転換を求めるものであります。
第二に、「和文化交流センター整備事業」についてであります。この事業は2007年の「青少年文化センター構想」からはじまり、2008年、土地開発公社によって塩冶町の旧宍道邸の土地と建物を先行取得。その後、障がい者アート美術館構想などを経て「和文化交流センター」となったものであります。執行部の説明によれば、今回の補正で設計費370万円を措置し、今後、解体を含む工事に5650万円、進入道路や駐車場の整備に3500万円、年間の維持管理経費400万円とのことであります。
私は、同時に計画されている児童クラブはもちろんのこと、各種の文化活動や地域コミュニティーの場の必要性を否定するつもりは全くありません。しかし、公債費の高止まりや将来の交付税の減額など「財政難」を強調し、一方では市民に負担とサービスの縮減を押し付けているではありませんか。今なぜ、この事業が必要なのか。委員会の審査の中でもこの疑問に納得のできる回答はなく、必要性さえも曖昧な本事業に対し市民の理解は得られないものと考えます。以上の理由により「可決」とした委員長報告には賛成できません。
(簡易水道特別会計)
次に、議第3号、出雲市簡易水道事業特別会計第2回補正予算についてであります。
簡易水道は、ご承知のとおり、一般会計からの繰り入れによって初めて成り立つ水道事業であります。この簡易水道が国の誘導策により、次々と上水道と統合させられているのが今の実態であります。
これまでも明らかになっているとおり、計画に従って2016年、平成28年までにすべての簡易水道が上水道事業と統合されれば、一般会計からの繰り入れは基本的にできなくなり、その穴埋めは水道料金の引き上げによって賄われることになります。
簡易水道の給水人口は地方交付税の算定の基準ともなっており、自治体に対し有利な財源をぶら下げながら統合を求め、最終的には地方への支出を削減しようというのが国のねらいであります。
国に対し、地方の弱みにつけ込んだ政策誘導をやめるよう求めるとともに、本市の統合計画の再検討を求めるものであります。よって、可決とした委員長の報告に反対であります。
(子ども・子育て会議条例)
次に、議第12号「出雲市子ども・子育て会議条例」についてであります。2012年8月に成立した「子ども・子育て関連3法」に基づく、今回の「子ども・子育て支援新制度」は、2015年の4月の本格実施をめざすものであります。直接契約制や利用者補助方式の導入など、保育に市場原理を持ち込み、保育の質を大きく変えてしまうものであり、決して容認できるものではありません。
条例案により設置される「子ども・子育て会議」では、この間、関係者から指摘されてきた問題点を十分に踏まえた議論が求められます。会議のメンバー選考や新制度の運用にあたっては、保護者や保育現場の意見や要望を十分に反映させるとともに、保育の公的責任を後退させないことを強く求め、今回の条例制定には賛成するものであります。
(乳幼児医療費助成を拡充し中学卒業までの無料化を求める請願)
最後に、請願第2号「乳幼児医療費助成制度を拡充し、窓口負担を中学卒業まで無料にすることを求める請願」についてであります。ご承知のように子育てにかかる経済的負担の軽減は子育て世代の最も強い要求の一つであります。請願が指摘する通り、子どもの医療費無料化の拡大は全国的にも大きな流れとなっており、県内でも大田市など1市6町が中学卒業まで無料に、松江市、雲南市で小学校卒業まで無料にするなど、制度拡大は急速に広がっています。
しかし、出雲市では無料は3歳未満までにとどまり、医療費助成の対象も県制度によって就学前までが対象となるのみで、小学校あがってしまえば大人と同じ3割負担を強いられるのが現状です。出雲市では就学前まで無料にするのに年間あと4000万円、小学校3年生まで無料にするのにあと1億9000万円、小学校卒業まで無料にするのに3億8000万円、中学校卒業まで無料にするのに5億6000万円あれば可能となります。国や県に対し、制度の拡充を要望するのは当然のこととして、出雲市でも子育て家庭の要求に応え、中学卒業までの無料化に向け、制度を拡充するときとではないでしょうか。本請願の委員長報告は無情にも「不採択」であり、これに賛成することは到底できるものではありません。
以上で終わります。