31日、市議会全員協議会が開かれ、これまで市民懇話会などで検討が進められてきた「出雲市自治基本条例」の原案が示されました。
自治基本条例は、2009年5月に市長が施政方針にてその制定を目指すことを表明し、公募委員を中心とした市民懇話会を設置、市民へのアンケートなどを経た後、「条例原案作成作業の為の検討会」で作業が進められていました。
「原案」は前文にて「八百万の神々が集う私たちの出雲は」との文言ではじまり、行政が「神」の存在を肯定するかのような記述がみられます。また、「私たちは・・・(中略)・・・先人から受け継がれた文化と歴史に、誇りと愛着を抱いています」とされ、市民一人ひとりの心のありようにまで言及してあり、条例として行き過ぎた面も見受けられます。
さらに、「市民の責務」として「行政サービスに要する費用について応分の負担をします」と明記され、このことは、弱者を行政サービスから排除しかねない「応益負担の原則」が露骨に条文化されたものと言えます。市民・国民が収入に応じて負担可能な税金を納め、それとは別に、必要に応じて公共サービスを受けることは、憲法の理念に基づく当然のことであり、この条文は、これに背くものと言わなければなりません。
また、住民投票についても規定され、有権者の6分の1の署名(約2万3千人)による発議、市議会の過半数の賛成による発議、市長が議会の同意を得ておこなう発議によって、住民投票が実施できるとしています。なお、結果について議会・議員は「結果を尊重する」ことが明記されています。
今後、今回の「原案」をもとに「広く意見募集を行い、更に検討を加え、条例案としてとりまとめる」とし、本年の6月議会での成立をめざすとしています。
この条例は「市民が主役のまちづくりを実現するための基本的なルール」と位置づけており、市民の意見表明権や市政へ参画する権利、情報を知る権利などが明確にされるなど、住民自治の発展にとって欠かせない進歩的な部分を多く含んでいます。今後、市民参加のもとで十分に議論が進められ、必要な修正がおこなわれることを期待するものです。